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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)255号 判決

主文

原判決を破毀する。

本件を仙臺高等裁判所に差し戻す。

理由

仙臺高等檢察廳檢事長代理檢事片岡平太の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

按ずるに原判決は本件拳銃の「主要部分の不足、破損あるにおいては、彈丸発射の機能を有しないものといわなければならない從って右拳銃は鉄砲等所持禁止令第一條同令施行規則第一條にいわゆる銃砲に當らない」と判示しただけで判示拳銃は容易に修繕し得るものなりや否やの點について判斷を示していない、思うに原審においては犯行當時所持していた拳銃が彈丸発射の機能を有しない以上前記禁止令第一條並に同令施行規則第一條の銃砲に當らないと考えたものと認め得る。しかし右禁止令同令施行規則にいわゆる銃砲は、何等の故障がなく何時でも彈丸を発射し得る機能を有するものだけを指すのではなく故障があっても容易に修繕することができ、修繕すれば彈丸発射機能を回復し得るものをふくむと解すべきであるから、原審においては、現在容易に判示主要部分の不足を補充し、且つ破損部分は修繕し得るものなりや否やの點について審理判斷をとげなければ、本件の拳銃が右禁止令第一條並に同令施行規則第一條のいわゆる銃砲に該當するや否やを決することはできないわけである。しかるに原判決は所論のように法令の解釋を誤り此點についての審理を爲さない違法があるから、破棄をまぬかれない。

よって舊刑事訴訟法第四四七條同四四八條ノ二により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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